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2001.03【特集記事−本誌編集部より−】
ISO 9000:2000年版にどう対応するか! (3)
──品質マネジメントシステム12の基本と改正の詳述──

 
阪本三郎 氏
阪本技術士事務所所長,茨城県技術士会会長
ISO 9000品質システム審査員(JAB,IRCA)
(社)日本技術士会PJT環境
マネジメントセンター会長,環境審査員
国際環境アドバイザー

白石正彦 氏
白石技術士事務所所長
技術士・化学部門

吉田秀夫 氏
NECファクトリエンジニアリング
ISO支援部担当マネージャー
技術士・情報工学・IQA/IRCA
Provisional TicklT Auditor (A007197)
JAB主任審査員 (A0234)
当連載は、「ISO 9000審査登録事業所のための2000年改正:社内規定新規追加変更事例集」(改定新版)より。具体事例は2000年正式版に対応しています。



(前号続き)
    1. 監査の種類
      1. 第一者監査
        内部目的のために、その組織自身または代理人によって行われ、組織の適合性を自己宣言するための基礎とする。
      2. 第二者監査
        組織の顧客または顧客の代理人によって行われる。
      3. 第三者監査
        外部の独立監査機関によって行われる。
        認定機関はISO 9001要求事項への適合に認証登録を行う。

  1. レビュー

    トップマネジメントの役割の一つとして、品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性及び効率性に対する定期的な系統的な評価を以下の事項を考慮して実施する。
    1. 顧客及び利害関係者のニーズと期待の変化に応じて、品質方針及び品質目標に適用させる。
    2. レビュー結果の処置を決定する。
    3. 監査報告書をレビューに利用する。

  2. 自己評価

    自己評価とは、ISO 9001規格の品質マネジメントシステムまたは品質賞など優秀性モデルに照らした組織の活動及び結果の包括的、系統的及び定期的レビューを言う。
    1. 自己評価方法論により、組織のパフォーマンス及び品質マネジメントシステムの成熟度を全体的に知ることができる。
    2. 組織の成熟度を知ることにより、改善を必要とする領域を特定し、優先順位の決定に役に立つ。
    3. 改善努力の進捗状況を適切に評価するため定期的に用いることができる。

(9) 継続的改善
  1. 改善
    1. 継続的な活動である。
    2. 製品の特徴及び特性を高めるために行う活動。
    3. その活動及び/又は製品を製造し、提供するために用いられるプロセスの有効性及び効率を高めるために行う活動。

  2. 改善機会の決定
    1. 改善結果のレビュー
    2. 監査、顧客からのフィードバック
    3. 品質マネジメントシステムのレビュー

  3. 改善活動
    1. 現状を明確にし、測定し、分析する。
    2. 改善目標を設定する。
    3. 可能な解決策を探す。
    4. 解決策を評価する。
    5. 選定した解決策を実行する。
    6. 実行結果を測定し、検証し、分析する。
    7. 変更を正式なものとする。

(10) 統計的手法の役割
  1. 統計的手法の利用は、変動の性質、程度、原因をよりよく理解するために役立ち、変動に起因する問題の解決、さらには問題発生の防止、効率の継続的改善の促進に役立てることができる。

  2. 変動は、製品及びプロセスの測定可能な特性として、また市場調査から顧客サービス及び最終処分までの製品ライフサイクルのさまざまな段階において起きる。

  3. 統計的手法によって意思決定を助けるために利用可能なデータをより一層使い易くできる。

(11) 他のマネジメントシステムの焦点
  1. 品質マネジメントシステムは、該当する利害関係者のニーズ期待及び要求事項を満足させるための品質目標に関するアウトプット(結果)の達成に焦点を当てた組織のマネジメントシステムの一部である。

  2. 品質目標は、組織の他の目標、例えば成長、資金、収益性、環境及び労働安全衛生に関するものを補完する。

  3. 組織のマネジメントシステムのさまざまな部分は、品質マネジメントシステムとともに、共通の要素を用いる一つのマネジメントシステムに統合される。統合化によって、計画、経営資源の割当て、補完しあう目標の明確化、及び組織全体の有効性の評価が容易になる。

  4. 組織のマネジメントシステム要求事項の達成状況を評価することができる。

  5. 品質及び環境マネジメントシステム等の監査は、個別又は組み合わせで実施できる。

(12) 組織の優秀モデルとの関係
  1. 共通原則
    品質マネジメントシステムのアプローチと優秀モデルのアプローチは共通の原則に基づいている。
    1. 組織が強みと弱みを明確にすることができる。
    2. 一般的モデルに対する評価がある。
    3. 継続的改善に関する基準を提供する。
    4. 外部からの承認に対する準備。

  2. ISO 9000ファミリー規格
    1. 品質マネジメントシステムに関する要求事項とパフォーマンス改善に関する指針の提供。
    2. 品質マネジメントシステムの評価では、要求事項の達成状況を判定する。

  3. 優秀モデル
    1. パフォーマンスの定量的な評価を可能とする基準を含み、組織のすべての活動及びすべての利害関係者に適用できる。
    2. 優秀モデルの評価基準には、改善の新機会を作るために卓越したリーダのプロセスを比較検討するベンチマーキングが可能である。

続いて、改正の詳述に移ろう。
今回、改正の新規格(ISO 9001:2000、JIS Q 9001:2000)の内容を旧規格(ISO 9001:1994、JIS Z 9901:1998)と対比させて、詳しく説明する。

現在の旧規格から構成されている既存の品質システムへ新規格を如何に有効に適用するかが期待されている。
このため、
  1. 旧規格を主体にした旧規格と新規格との関連付け
  2. 既存の品質マニュアル及び規定類の改訂の際の、新規格の要求事項の新規、追加の区分
  3. 新規、追加の変更内容
  4. 新規、追加をする対象の規定類の特定 の各項目に整理し、改正の新規格(ISO 9001:2000、JIS Q 9001:2000)の内容をわかり易くした。
なお、新規は○(○内の数字は新規番号)、追加は△(△内の数字は追加番号)と識別した。

第5章に示した標準例である既存品質マニュアル、規定類に新規格による新規改訂や追加改訂にあたる部分に、これらの記号番号を付記した。これにより、既存文書と改正の新規格(ISO 9001:2000、JIS Q 9001:2000)と旧規格(ISO 9001:1994、JIS Z 9901:1998)と関連付けが明確になり、より一層、新規格への理解が深まるであろう。

(以下次号)


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