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2001.09【特集記事−本誌編集部より−】
製品認証とは何か!(3)
──製品認証機関認定の実際──

 
財団法人日本適合性認定協会
専務理事 井須 雄一郎

認定機関が製品認証機関を認定する場合、どのような手順で行われるのかを概説する。図表−1認定のフローチャートを参照のこと。

まず、認定機関は製品認証機関を認定する際の認定基準を定め、予め公表している。世界各国の認定機関は、認定基準としてISO/IECガイド65をそのまま、あるいは内容は同じで、基準文書の番号を認定機関独自の番号を付けた基準文書として使用している。この基準を適用するに際し、IAFに加盟している認定機関はIAFガイダンスを適用している。又、各認定機関は認定を取得しようとする機関に対して、申請から認定授与までの一連の工程を記述した文書(JABの場合、認定のための手順と呼んでいる。)を公表している。
認定機関から認定を取得しようとする機関は、その認定機関から公表されているこれらの文書をよく研究して、認定基準に要求されている組織を構成し、運営のための手順を文書化し、必要な専門性を有する要因、設備、審査員を確保するなどの準備を行う。
準備のできた機関は所定の申請書に対象製品名や認証システム類型等必要事項を記入し、品質マニュアルなど必要な文書類を添付して、認定機関に対し認定の申請を行う。初めて申請する場合を初回認定申請と呼び、その後の認定の更新申請などと区別している。また、初回申請の場合、予め認証実績が何件かあることが一般的に要求されている。

さて、申請を受け付けた認定機関は、認定審査チームを編成し、認定審査を開始する。認定審査は、申請書と共に提出された申請機関の文書類の審査から始まり、申請機関の事務所における事務所審査、申請機関の審査チームが事業者に対して実施する審査への立会いを実施する。これら一連の認定審査において不適合が検出されれば、認定機関はその不適合に関する是正を申請機関に要求する。後日、認定審査チームによって不適合の是正が確認されると、認定審査報告書が作成され、認定機関の認定委員会に提出される。
認定審査が公正に実施されるために、認定審査チームのメンバーは申請機関と利害関係のないことが確認されてから、正式に認定審査チームの指名がなされる。
認定審査報告書に基づいて認定を授与するか否かの決定を行う機能は、やはり公正な決定が行われるように、当該認定審査に関与していない者、そして当該申請機関と利害関係のないものが行うようになっている。JABなどの場合、認定委員会は、学識経験者、産業界、購入者、行政機関などを代表する委員から構成されている。
認定委員会で認定の授与が決定されると、認定機関から申請機関に対して認定登録証が発行される。
認定の有効期間は対象製品種類や認定機関の方針等によって異なるが、一般的には4年である。認定有効期間中は通常年一回のサーベイランスが実施され、認定された認証機関が認定基準に基づいた組織運営及び審査を実施しているかが監視されることとなる。
認定の有効期限が近づくと、認証機関は認定を更新するために、認定の更新申請を認定機関に対して提出する。認定審査を受けた後、認定を更新する手順は初回認定とほぼ同一である。

尚、認定を授与するに当たっては、製品分野及び認証システム類型を明確にして授与する。一般的には事務所の所在地と、製品認証に適用する規格と、製品分野(ICSコード:International Classification for Standardsを使用することが国際的に推奨されている。図表−2にその一例を示す。)、認証システムの類型(図表−3参照)を特定する。この認証システムは、初回評価方法として品質マネジメントシステムを審査するもの、設計確認を行うもの及び試験による確認(型式試験、バッチ試験、100%試験)をするものがある。また、サーベイランスの方法としては、品質マネジメントシステム審査、設計比較及び型式試験による方法がある。

製品分野はその分野に専門性を有する審査員を確保しているか、試験を実施する能力を有しているか(下請負契約を含む)否かと言う点で、換言すれば、その製品分野で認証事業を実施する技術力があるか否かを示すものであり、認証機関にとっては非常に重要な要素である。
事業の拡大等により、認証事業を拡大しようとする場合には、認証機関は認定機関に対して認定範囲拡大のための申請を行う。認定機関は、書類審査、事務所審査、審査への立会いなどを実施し、申請された新しい範囲でも認定基準に基づいた認証が実施できることが確認されれば、範囲拡大を認定することとなる。

図表−1 認定のフローチャート

図表−1 認定のフローチャート
(初回認定申請から認定登録証の授与まで)

(注)
IAF(International Accreditation Forum, Inc. 国際認定フォーラム)
JAB(The Japan Accreditation Board for Conformity Assessment, 日本適合性認定協会)


図表−2 ICSコードの一例
(文書番号:JAB P205-2001より抜粋)
図表−2 ICSコードの一例


図表−3 製品に関する第三者認証システム

図表−3 製品に関する第三者認証システム


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