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2002.01【特集記事−本誌編集部より−】
適合性評価制度への電子公証サービスの提案

 
辻村 忠善
(株)日本電子公証機構
顧問 ISOコンサルタント


最近、電子公証サービスも本格化してきており、鞄本電子公証機構の電子認証は、認証局としての認定も受けられてました。私は、電子政府に関連する電子認証には、電子公証のサービスがあってこそと企業にとって有益なものになると考えております。電子公証としては、今後のマネジメントを補佐する第三者機関として大変重要な役割を持つものであり、マネジメントシステムとの関連は重要であると考えています。最近、私は、JAB(日本適合性認定協会)へ次のようなプレゼンテーションを行った。その内容(プレゼン資料)を公開する。

1.企業を取り巻く環境の変化

ISO9001から始まった適合性評価制度も、環境、試験所、そして製品認証へと発展しています。また一方では、電子政府への取り組みが、電子署名法の制定等、急ピッチで進行しています。双方とも今後の企業の運営手法(マネジメントシステム)の変革を要求しているものであり、必須項目となるのは確実です。

2.適合制評価制度の現状

適合性評価制度は、品質から始まり、その適用範囲は拡大し、また試験所認定の制度を含めて構築されており、企業経営には基盤としてさらに活用すべきものであると考えます。

3.適合性評価に関する企業の実情

企業が継続して発展していくための基礎としての適合性評価の対象となる“要素”は、品質、環境、安全、経営の4要素であると考えます。経営に関する社会的責任としての必須の項目が法規として整備され、そして品質等の任意の目的に広がりました。しかし、それぞれ全て個別のものとして考えているケースが多く、マネジメントシステムの多層化という新たな問題が目立つようになりました。
適合性証明の客観的な証明に、任意の審査登録制度が利用されています。しかし、仕組みの標準への合致は、必ずしも利害関係者が満足できるものではなく、直接関係する、製品・サービスの具体的な証明を求めるものであり、また問題が生じた場合、すべて企業の責任として処理しなければならないのが実情です。
このような複数のマネジメントシステムを、総合的なマネジメントシステムへ発展させるキーワードが、企業の必須となっていく“電子政府”にて利用する電子認証・公証のシステムとなります。

4.電子認証・公証サービスアイテムと有効性について

電子認証・公証のサービスは、単なる“文書の認証サービス”ではなく、マネジメントシステムそのものであり、記録保存をはじめとする文書のライフサイクル全体のプロセスを大きく改善する画期的な仕組みです。

5.適合性評価制度における文書管理の問題について

適合性評価のシステムは、関係者間を“文書”が行き交い成立しているものです。取り扱う文書数は、事業の発展に正比例して増加し、“記録”としての保存も膨大なスペースを必要となると同時に、以下のような文書管理に関する様々な問題が発生するものと考えます。
  • 原本管理の複雑化
  • 文書の機密保持
  • 文書の発行の正当性の証明の複雑化
  • 関係者の増加に伴う処理の延滞と延滞によるトラブル発生
  • 保存文書の管理の複雑化

6.適合性評価制度における電子公証利用のイメージ


電子認証・公証のサービスをインターネットを経由して利用することで、確実な文書管理の実現、つまり、文書に纏める様々な問題を解決すると同時に、JAB内部の事務処理の効率化を図り、そして電子政府実現のための基盤作りとなる適合性評価制度の更なる発展を促進します。
以下のような文書管理の諸問題を解決します。
  • 原本管理の複雑化
  • 文書の機密保持の確保と証明
  • 文書の発行の正当性の証明の複雑化
  • 関係者の増加に伴う処理の延滞・トラブル発生
  • 保存文書の管理の複雑化
電子認証・公証サービスは、JABの仕組みをセキュリティーを大前提に電子化したシステムと言えます。

7.適合性評価制度における電子公証サービス利用全体図


8.電子公証サービスdPROVEの特徴

JISZ9361:認証機関及び審査登録機関の認定審査並びに認定機関に対する一般要求事項 2.1.7文書化及び2.1.8記録、2.1.9機密保持の要求事項に合致した内容となっております。
  1. 操作者を特定(認証)…本当の特定者のみアクセス可能に
    ▼デジタルID認証+バイオメトリックス認証にて本人特定する

  2. 非改ざんでの保存
    ▼作成者(登録者)側
    1. ハッシュ値+タイムスタンプ+本人認証で原本性を証明保存
    ▼ファイル共有利用者側
    1. ダウンロードしたファイルに途中非改ざんの確認
    2. 登録者の本人性を確認
    3. 登録時刻の確認

  3. トラッキングの確認
    ▼確認の内容
    1. いつ、誰がどのファイルを登録したか
    2. いつ、誰がどのファイルを取り出したか
    3. いつ、誰がどのファイルの原本性証明をしたか(確実なダウンロードの確認)

  4. 安全性・拡張性・コストパフォーマンスを重視
    ▼インターネットでの利用
    1. 既にあるインターネット回線を活用することによって、新たな回線設備投資なく、また共有利用者を増やし易い
    2. 認証システムは、暗号化通信・保存により高いセキュリティーを確保(自前開発なら、かなりのシステム投資が必要)

9.JABにおける電子認証・公証システムの用途案

(1)JABにおける用途
  • 認定審査員の審査結果を確実にJAB事務局が把握すると同時に、認定審査員の責務を明確にする
  • 登録を希望する機関が認定基準を必要とする際の証明書発行
  • 登録済み機関への証明書付書類の発行
  • JABの制度等に関する一般企業等からの問い合わせに対する正式回答としての証明書付発行
  • 審査結果等の記録の確実な保管場所としての利用
  • 保管している記録を用いる場合の証明書付発行
(2)審査登録機関における用途
  • JABの文書のやり取り(申請を含む)の適性証明付発行
  • 審査登録企業との文書のやり取り(申請者、審査結果等)の適性証明付発行
  • 審査結果の記録の確実な保管場所としての利用
  • 保管している記録を用いる場合の証明書付発行
JABがどう評価し,どう取り組んでいただけるか期待しているところである。


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