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2009.11【特集記事】

技術士の資格を活用して大活躍!!
〜先輩技術士と講座修了者からのメッセージ〜

技術士は更に技術経営責任者をめざせ!!
NPO法人 日本技術経営責任者協議会 理事長 機械部門
大塚 政尚  


 
わが国の技術系資格は曲がり角に来ている。
わが国は、戦後の奇跡的復興、そして1960年代からのアメリカへの猛烈な追い上げを行い、その結果、1980年代に入ってアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に躍進した。
この奇跡的躍進の原動力は、かのエズラ F.ヴォーゲルをして、“ジャパン アズ ナンバーワン”と言わせた製造業であった。そしてその製造業の大躍進を支えた要因は、大量で良質な技術者の存在だった。なかでもその中核は、技術系専門資格者を中心とする多くの技術者だった。
しかし1991年から始まったバブル経済の崩壊は10年以上も続き、わが国は未曾有のデフレ経済社会に陥り、製造業を取り巻く事業環境が劇的に変化した。
1980年代後半から始まりつつあった製造業の海外移転は、当初は「安い労働力」を求めたものであったが、中国では国民所得の急増で巨大市場が出現し、今やこの「中国市場」を求めて日本企業が進出しており、この流れは止まる様子がない。
その結果、国内における製造業の空洞化は目を覆うばかりとなり、かつてわが国の製造業を支えた技術系資格者や技術者は、仕事を求めて海外に渡っている。現在では、このような力のある技術者は国益よりも個人的収入を求めて、中国を中心としたアジア各国の企業の支援者になりつつある。
このような状況で、果たしてわが国は大丈夫だろうか?
エネルギーと食料の大半を海外に依存するわが国の産業競争力は、今後も技術を中心とした製造業の経済活動によるものしかない。とすれば、今なすべきことは、国内に残った技術系製造業の育成・支援に尽きると言えるのではないか?
私は大企業の技術者として出発し、その間技術士の資格を取得した。その後大企業の技術者から独立し、複数の大企業をスポンサーに、新材料・新技術を開発してベンチャー企業を立ち上げ、運よく8年で株式上場を果たした。
上場後2年で会社を離れ、ベンチャー企業や中小企業の支援活動を行っているが、多くの企業経営者と会って気がついたことは、「技術が分かって経営ができる人材が、圧倒的に不足している」という現実だった。
そこで、国内の中小企業の支援や育成に必要不可欠な人材として「技術と経営の両方がわかる人材(技術経営責任者)」を養成するための組織「NPO法人 日本技術経営責任者協議会」を、技術士や博士等の資格を持ち、経営経験のある友人たちと5年前に立ち上げた。
この資格者は、技術実務を経験した人に企業経営、事業戦略、経理財務、資金調達、コンプライアンス、知財戦略の方法を知ってもらい、まさに企業経営者や、そのナンバー2をこなせる人材を目指している。
この「技術経営責任者」に対する産業界の潜在的要求は数万人とも予想され、しかも緊急性の高いものである。是非技術士の方々も技術経営責任者の資格をめざしてもらいたい。
そこで当協議会としては、既に技術士等技術系の国家資格やそれに準ずる資格を持ち、現在、活躍している方々に、「技術経営責任者」として必要な企業経営、事業戦略、経理財務、資金調達、コンプライアンス、知財戦略などの知識を短期的に再学習することにより、その有資格者として産業界で活躍していただくことをお願いしたい。
また、特段の技術系資格は無いものの、既に企業内において相応の経験が認められる方については、当協議会の選考規定によって、早期養成認定講習を受講して有資格者となることができる。
弊協議会では、2009年1月から2014年12月の5年間に限って、早期養成認定講座を年4回実施することとしている。
皆様が技術士の資格を取得され、更に技術経営責任者の資格をも取得され、産業界における新たな職域でご活躍されることを期待しております。(https://www.techno-con.co.jp/licence.html)


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