1.労働安全コンサルタントの概要
1.1 労働安全コンサルタントとは
「労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。」(労働安全衛生法第81条)

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「診断」=当該事業場の安全管理体制、生産設備類、労働災害発生状況等の調査から事業場のトップ、監督者、スタッフ等と協議し、事業場の安全上で改善を必要とする事項を把握、検出し、その改善計画を考える |
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「これに基づく指導」=改善の実行支援の他、教育、講演、相談等も有り |

国家資格を持って、事業場の安全水準を向上させるため、労働災害の未然防止、再発防止対策の考え方、方法、取り組み方を具体的に助言・支援する専門家
1.2 労働安全コンサルタントの職務
- 事業場の安全巡視、関係者とのその対策協議
- 安全改善計画の立案、作成、指導
- 機械設備、化学物質等のリスクアセスメントの実施指導
- 機械設備の安全化(本質安全、機能安全)の立案
- 労働環境全体の最適化(機器・設備の配置、交換含む)への指導、支援
- 労働安全に関する規程、点検基準の設定及びその実施、管理の指導
・安全衛生管理規程、安全作業手順、就業制限業務規程、機械点検基準導
- 労働災害発生時における再発防止対策の作成、支援
- 安全教育、講演
- 労働安全衛生マネジメントシステムの構築指導
- 労働安全衛生マネジメントシステムの監査、評価
(これにより、労働安全衛生法第88条規定の機械等の設置、移転に関する計画届出義務の軽減が図れる。――労働安全衛生規則第87条)
- 安全に関する相談(労働安全衛生法令関連、具体的な労災対策 等)
1.3 労働安全コンサルタントの活躍の場
- 民間会社、地方自治体、国機関等からの安全診断及びこれに基づく指導業務
- 民間会社との顧問契約による安全業務
- 安全衛生特別指導事業場への安全指導・支援業務
(労働基準監督署から指名された事業場に対する安全指導・支援業務)
- 民間会社、地方自治体、国機関(労基署含む)向けの講演業務
- 安全協会での講演、協会から紹介される会社・事業場への安全業務
(東京:(公社)東京労働基準協会連合会、神奈川:(公)神奈川労務安全衛生協会等
- 民間会社、地方自治体、国機関への安全教育(新入社員雇入時研修、職長教育、安全管理者選任時研修、リスクアセスメント研修 等)
- 労働基準監督署での届出指導員(88条申請、石綿則等対応)等々
1.4 労働安全コンサルタントに求められる資質と能力
1)資質
【労働安全衛生法】
第2節 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
(業務) 第81条 |
労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。 |
2 |
労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。
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(義務) 第86条 |
コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。 |
2 |
コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を洩らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなった後においても、同様とする。
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(日本労働安全衛生コンサルタント会)※一部省略変更して記載 |
第87条 |
日本労働安全衛生コンサルタント会という文字を用いる一般社団法人は、コンサルタントを社員とする旨の定款があり、かつ全国のコンサルタントの品位の保持及びその業務の進歩改善に資するため、社員の指導及び連絡に関する事務を全国的に行うことを目的とするものに限り、設立することができる。
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6 |
コンサルタント会以外の者は、その名称中に日本労働安全衛生コンサルタント会という文字を用いてはならない。 |

「労働安全コンサルタントは、働く人の命・身体を第1と考え、倫理感を備え、事業場トップを説得できる高い安全衛生意識と強い熱意をもって、事業場の安全水準の向上を図る者。」
「(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会は、倫理及び行動の規定を定め、会員コンサルタントに、品位の保持、業務の進歩改善等について指導する。」
2)能力
(1)専門技術能力
① |
材料、設備、製造、作業手順、工法、プロセス、土木建築、電気等について、知見を有し危険性又は有害性を把握し、その除去・低減方法を技術的に見出し提示できる。 |
② |
設計、製造、検査、運転等について所要の技術・知見を有している。 |
③ |
専門区分での工法、プロセスの構成技術要素の知見を有し、その安全審査ができる。 |
④ |
専門区分での安全に関する技術を理解、適用、応用できる。 |
⑤ |
常に最新技術の知識を収集し、理解、適用できるよう努める。 |
(2)業務遂行能力
① |
問題分析力、企画力
問題を見出だし、安全の見地からその分析、評価、対策までを計画立案する力 |
② |
コミュニケーションカ
聴く力、説明力・説得力(相手に認識させ、実行意欲を起こさせる力)――特に経営層への説明力・説得力は重要 |
③ |
適応力
様々な顧客のニーズ、状況に適応する柔軟な対応・対処をする力 |
④ |
指導力
顧客全ての対象者に対し、相手の立場に立ちつつ、正しいと思われる方向性に導く力 |
(3)営業力
考えられる客先、機関等に積極的にPRをし、客先反応を見つつ柔軟に対処、展開させていく力

コンサルタントとして独立後に、重要
竹内春樹「令和7年度労働安全コンサルタント試験合格のポイント」テキストより
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