前のページへ戻るホームへ戻るテクノビジョダイジェスト
 
2000.06【特集記事−本誌編集部より−】
今から、ISO 9000:2000年改正版で審査登録や
維持監査をうける方法


 
 認定機関、審査登録機関、産業界を含む国際認定機関フォーラム(LAF)の代表者は、ISO/TC176(当該規格の責任組織)及びISO/CASCO(適合性評価分野における標準化責任組織)の代表者と会議を開き、新ISO規格への移行措置について合意をしました。
 そのコミュニケによると、
  1. ISO 9001:2000が国際規格(IS)として発行されるまでは新 ISO 9001 規格に対する、認定された登録証を授与してはならない。
    参考:ISO 9001:2000は、現行のISO 9001/2/3:1994の三規格に置き換わるものである。ISO 9001の国際規格案(DIS)は、1999年11月に公表された。現在の計画では、最終国際規格案(FDIS)は2000年(暦年)の第3四半期に回付され、新ISO 9001規格は2000年の第4四半期に発行される予定である。

  2. ISO 9001:2000が国際規格(IS)として発行される以前に、審査登録機関は新ISO 9001規格の最新案に準拠して審査を開始してもよい。
    組織が準備をしたり、必要な場合にアクションを取ることが出来るように、審査登録機関は、ISO 9001:2000が国際規格(IS)として発行される以前に、組織が新ISO 9001規格の最新案(即ち、国際規格案あるいは最終国際規格案)に適合しているかの審査を開始してもよい。
    コストを最小限にするために、その時点で審査登録されている組織はその登録のサーペイランスや更新審査の一部として新ISO 9001規格の最新案に対して審査を受けるという活用法を考えてもよい。しかし、国際規格案または最終規格案に対して登録証発行してはならない。認定された登録証は、国際規格が発行されたのちにはじめて、国際規格に対してのみ授与できるものである。

  3. ISO 9001/2/3:1994に対する登録証は、ISO 9001:2000が発行された日から最長で3年間有効とする。
    ISO 9001/2/3:1994に対して審査登録されている組織には、ISO 9001:2000が発行されたら出来るだけ早くこれに移行するよう勧奨する。しかし、ISO 9001:2000は、ISO 9001/2/3:1994から根本的に変更されたアプローチとなっていること(文書ISO/TC176/SC2 N439 “Transition Planning Guidance”の最終改訂版を参照)を認識する必要がある。審査登録機関はISO 9001 : 2000が発行された日から3年までは1994年版の規格に対して組織を審査してもよい。しかし、審査登録機関は、ISO9001/2/3 : 1994に対する組織の登録が期限切れになる前にISO 9001 : 2000への移行が確実に完了するよう組織の勧奨するのがよい。

  4. ISO 9001 : 2000の発行により、審査員及び審査登録機関の該当する職員は新規格に対応した能力を実証することが必要となる。
    ISO 9001 : 2000の発行により、審査登録機関は移行期間を適切に管理したことを実証することが必要となる。IAFメンバーの認定機関は、ISOがDIS 9001 : 2000を発行したのちISO 9001 : 2000発行までの期間に行う認定サーベイランスは、審査登録機関がその審査登録サービスの変更をどのように管理しているかに焦点を合わせることを、認定された審査登録機関に対し(IAFで合意した書簡により)通知する。サーベイランスは、DIS 9001 : 2000に対する審査登録がISO 9001/2/3 : 1994に対する審査登録と異なる点に関して、審査登録機関の審査員及び該当する職員の能力に特に焦点を合わせる。認定機関は、審査登録機関のプログラムを審査し、審査員及び該当する職員が下記事項の知識を持ち理解しているかを確かめる。
    • 改訂した規格が準拠する品質マネジメントの8原則
    • ISO 9001 : 2000の最新案の要求事項
    • ISO 9001 : 2000の最新案の概念と用語
    認定機関は審査員登録機関の職員が、新規格に対して登録証を発行するために必要とされる運営の変更を実施できる能力を審査する(ISO 9004 : 1994はパフォーマンスの改善についての指針を含んでおり、ISO 9004 : 2000もそのような指針を含むことに留意されたい)。

  5. 審査登録機関は、ISO 9001 : 2000に基づく登録証の登録範囲を定義するに当たって、及び、本規格の要求事項の一部適用除外を決定するに当たって、特別の注意を払うことが必要となる。
    ISO 9001/2/3 : 1994の三つの要求規格を一つの要求規格(ISO 9001 : 2000)で置き換えることは、組織の活動を非常に明確にしかも簡潔に記述したものを審査登録プロセスの中で使用することが必要となる。組織は、顧客の要求事項及び適用される法的要求事項に適合する製品を供給するうえで、組織の能力に影響を与えず、また、その責任を免除するものではないような品質マネジメントシステム要求事項のみを除外してもよいという規格案の要求事項に注意を払うことが必要である。
 という内容であります。
 つまり、受審査側はFDISがDISと変わる可能性はあることを前提に、2000年版対応の登録準備をしておくことが望ましい。(’94年版規格に基づく審査登録は、新規格発行後3年間しか有効でない。) ISO 9000が市場で引き続きその価値を認められるためには、ISO 9001 : 2000の審査登録証保有者が、新ISO規格が準拠している品質マネジメント原則を積極的かつ精力的に実施し、第三者審査登録機関がこれを支持することが必要である、ということを強調した意見が、産業界の多くの分野から出ています。

【品質マネジメントの8原則】
原則1−顧客志向の組織
組織は顧客に依存しており、それゆえ、現在及び将来の顧客ニーズを理解し、顧客要求事項を満たし、顧客の期待を越えるように努力すべきである。

原則2−リーダーシップ
リーダーは、組織の目的、及び方向を一つにまとめあげる。リーダーは、人々が組織の目標を達成することに十分に参画できる内部環境を創り、維持すべきである。

原則3−人々の参画
すべての階層の人々は組織にとって不可欠なものであり、その全面的な参画によって、組織の便益のためにその能力を活かすことが可能となる。

原則−4プロセス・アプローチ
関連する経営資源及び活動が一つのプロセスとして運営されるとき、望まれる結果がより効率的に達成される。

原則−5マネジメントへのシステム・アプローチ
所与の目標に対して相互に関係づけられたプロセスからなるシステムを明らかにし、理解し、運用することは、組織の有効性及び効率に貢献する。
原則6−継続的改善
継続的改善は組織の永遠の目標である。

原則7−意思決定における事実に基づくアプローチ
効果的な決定は、データ及び情報に基づいている。

原則8−供給者と互惠関係
組織及びその供給者は相互に依存しており、その互惠関係によって両者の価値創造能力が高められる。



前のページへ戻るホームへ戻るテクノビジョンダイジェスト