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2001.10【特集記事−本誌編集部より−】 製品認証とは何か!(4) ──相互承認── |
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財団法人日本適合性認定協会 専務理事 井須 雄一郎 1.相互承認の基本的パターン相互承認の基本的パターンは、相互承認協定を締結する主体により、政府間、認定機関間、試験・認証機関間の3種ある。政府間相互承認は、図表−1に示すように、輸出国政府の法体系のもとで実施された。製品が強制規格の技術的要求事項に適合しているか否かの試験・認証した結果を、輸入国政府が自国の法体系のもとで実施された試験・認証の結果と同等として承認する仕組みである。 EUは欧州域内各国政府間で相互承認協定を締結し、発効している。さらに、域外のアメリカ、カナダ、スイスの各国政府とは1998年に、オーストラリア及びニュージランドとは1999年に、相互承認協定を締結し、発効している。日本政府はEUと交渉を続けていたが、2001年4月に締結した。 試験・認証機関を認定する機関(認定機関)間の相互承認は、図表−2に示すように、試験・認証機関を認定するプログラムの内容を相互に評価した結果に基づいて、相互のプログラムが同等であることを確認する仕組みである。 認定機関は、非政府の民間機関が多く、任意分野の適合性評価に関わる認定プログラムを主として提供しているが、EU、オーストラリア及びニュージランド等多くの国では、任意分野での認定機関間の相互承認結果を政府間相互承認でも活用されている。(図表−3参照) 認定機関間の相互承認の例としては、IAF及びPAC等の品質マネジメントシステム、ILAC及びAPLAC等の試験所認定の相互承認が挙げられる。製品認証の分野では、未だ任意分野での認定機関間の相互承認は実現していないが、現在、PACやIAFで規準文書の整備や審査員の研修を実施しており、近く実現すると期待される。 試験・認証機関間の相互承認は、図表−4に示すように、試験・認証を実施するプログラムの内容を相互に評価した結果に基づいて、相互の試験・認証プログラムが同等であることを確認する仕組みである。任意分野での試験・認証機関間の相互承認結果を政府間相互承認でも活用されている。また、試験・認証機関が外国で試験・認証を実施する際に、その業務の一部を外部委託する基礎としてしばしば用いられる。
2.相互承認のメリット相互承認の目的は、相手の活動行為を相互評価の上同等と認め、ワンストップテスティングの実現によるコスト及び時間の削減を図って、世界貿易を公平性かつ透明性を持って推進することにある。相互承認のメリットは、消費者、供給者、規制当局等が安心してその製品やサービスの提供を受けることが出来ること、製品競争力が向上すること及び万一不適合があっても苦情を申し立てることにより、そのフォローが期待できることなどがある。 従って、前項の各レベルでの相互承認が、一日も早く広範囲に拡大するよう期待するものである。 3.おわりに四回にわたって製品認証制度について解説してきた。初回にも記述したように、製品認証は性能及び国民の安全と健康を確保することを目指している。従って、強制分野においてこそ、この制度が活用されるべきである。 我が国においては、国際規格に基づく製品認証制度は未だ十分発達していないが、諸外国が辿ったと同じく、国際整合化と規制緩和の一環で、強制分野において民間の任意の適合性評価制度が活用されるようになると、この制度は飛躍的に拡大するであろう。このためには、相互の信頼感の醸成が大切であり、今後関係者のたゆまぬ努力が必要と考える。 本稿が、日本の製品認証制度の理解に少しでも参考になれば幸いである。
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