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ISOマネジメントシステム(ISOMS)を導入した企業にとって「品質・環境・安全衛生の融合」は夢である。品質MS(ISO 9001)、環境MS(ISO 14001),OH&S MS(OHSAS 18001)の3つのマネジメントシステムは、企業を経営するうえでは大変よく出来た経営ツールである。しかし実行する各部門にとって、各々の存在は、それにかかるパワーが余りに大きく、多大な負担となり、企業の体力を消耗している。3つのマネジメントシステムには共通する内容が多く、関連する文書類、記録類も数多くある。分離しずらいものがあって個別管理を余儀なくされているのが現状である。
- 著者田_康雄氏は3つのシステムを融合し、スリムなISOMSを実現する目的で、トータルISOマネジメントシステム(T-ISOMS)を提唱してきた。
- そのためにISO 9001:2000を中心軸に置いて、その中心軸にISO 14001、OHSAS 18001を統合したトータルISOマネジメントシステム(T-ISOMS)を解説するものである。
- トータルISOマネジメントシステム(T-ISOMS)をすでに数社で指導し、有効な実績をあげてきた実績に裏打ちされたものである。
- 例えば「コンサルティング」先の企業(複数)において、スリムな文書作成を実現させた。これを支える内部監査技法も開発してきた。
今回はそのエッセンスを公開する。(当文は、「ISO 9000・2000、ISO 14000、OHSAS 18000統合トータル(T)ISOマネジメントシステム」より)
トータルISOMS(T-ISOMS)は、品質MS(ISO 9001)、環境MS(ISO 14001)、OH&SMS(OHSAS 18001)を融合するものである。
まずトータルISOMS(T-ISOMS)を実践するための道筋として、品質MS(ISO 9001)、環境MS(ISO 14001)、OH&SMS(OHSAS 18001)を各々の仕組みを比較しながら固有部分と共通部分を明確にする。
さらに規格ガイドラインの意味を把握し、規格要求事項と規格ガイドラインを混合しないようにする。
続いて、トータルISOMS(T-ISOMS)の基本構想をつくる。そして3規格に対応する場合のダブリのない構築法を考える。
それから統合システムに対する内部監査の実施方法をチェックする。
トータルISOMS(T-ISOMS)を経営に生かすのは、内部監査のやり方にある。
全員参加の内部監査を通して、社内業務が透明化し、無駄が見えてくる。
社員の「課題意識」が向上し、改善活動が活性化する。
今回は、3つのシステムを同時に監査する内部監査の着眼点、実施方法を解説する。
1.内部監査実施方法の分類
まず、内部監査のやり方を分類し、平行法の利点をご覧下さい。
2.統合内部監査/推奨
統合内部監査の実施方法とチェックポイントは以下のとおりです。
1)実施方法
実施方法に関して主要な点は、
- 現場を訪問した際、各規格対応3マニュアル(有れば)を同時に提出して貰う。
そして、自分のシナリオに基づいて同時に内部監査を実施する。
- 品質目標達成 → 安全衛生目標達成 → 環境目標達成 の繋がりを明確にする。
即ち、経営そのものを見る。
その結果、改善 → 改善計画 → 実施 → チェック → 是正 → 改善 のルート確立する。
という2点です。
ワンポイントアドバイス: 困難な方法ではあるが、経営者に喜んでもらえる。と言うのは、有効な経営ツールとして役立つから。
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2)頻度
頻度は内部監査の訓練という意味を加えて
- 少なくとも4回/年
- できれば、1回/月
が良いでしょう。
ワンポイントアドバイス: 一年に一回は、あまりにも少ない。なぜならば、内部監査員の訓練ができない。
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3)着眼点
その着眼点としては、
- まず、書いてあることが実施されているか。
その確認。
- 次に、現に実施している重要なことが書いてあるか?
定常(ルーティン)、非定常(非ルーティン)をふくめて。これを確認する。
- 過去、同業者の災害を集めているか。
高熱、はさまれ、やけどなど、自分の所に焦点をあてているか。
などをチェックして下さい。
ワンポイントアドバイス:
- 1)規格を盾にとった「べき論」(……べきである)をしない。
- この「べき論」は、現場を混乱させる。
- 2)従来と同様なチェック機能と、内部監査とを混同しない。
- OHSAS 18001の場合の「安全パトロール」がこれにあたる。
またパフォーマンスの良否も指摘しない。
ISO 14001の場合の「法違反指摘」がこれに当たる。法律違反があれば、違反を見逃すシステムの欠点を指摘する。そして水平展開する。
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4)計画
実施計画において一番重要なのは
- 毎回の重点項目を決める。
ワンポイントアドバイス: 事前にその組織の長(社長)の意向を聴取して重点に反映する。
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そして
- 社長に内部監査を見てもらうスケデュールを作成。
この点を忘れないようにするのは成功の秘訣です。
ワンポイントアドバイス: これを実施すると社内が活性化する。 |
5)チェックリスト
チェックリスト作成で重要なことは
- 文書の規格への適合確認(事務局/ISO推進室等)
a)規格要求事項に対して、自社の文書の表現個所との対比表を作成。
b)この対比表から受審対象部署の該当個所を抜粋して質問表を作成。
- 自社文書の実行状況の確認(内部監査員)
a)チェックリストには、受審部署の文書(下位文書)の記載事項をそのまま転写。
b)現場においては、「オウム返し」に質問する。
c)監査員の「べき論」は一切入れない。
d)監査員には、規格の要求事項を「盾に」とらさない。
この2点です。
ワンポイントアドバイス: この方法の利点は、(1)「内部監査員の負担軽減」、並びに(2)「文書と記録の自己増殖防止」
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6)チーム編成
チーム編成では、以下の1)2)の混成チームが望ましい。2人以上で編成。
- 専門家:受審部署の業務の精通者
例えば、その部署の出身者
- 非専門家:受審部署の業務をまったく知らない者
例えば、経理、人事、総務
ワンポイントアドバイス: OHSAS 18001の内部監査に当たっては、非専門家の新鮮な観察眼が不可欠。
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7)インタビュー
インタビューでの良いやり方、悪いやり方を比較してみましょう。
8)改善提案
内部監査では、企業を良くする目的が何よりも優先します。
- 普通レベルのオーディター(審査員): 審査後に提案
- 上級レベルのオーディター(審査員): その場で提案
ワンポイントアドバイス:
経営者は、改善された業務内容が明確に文書になり横展開することを期待している。
書いてあるからと言ってそのまま実施し続けることは、改善意欲のない証拠なので経営者の求めるところではない。
だからと言って、経験の浅い内部監査員が、内部監査の場において「改善案」を提案すれば、「べき論」の押付けに終わってしまう危険が大きい。
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9)現場(製造課、建設作業所など)を対象とした審査シナリオ
現場の審査シナリオを、3規格で比較してみました。
このようにトータルISOマネジメントシステム(T-ISOMS)の導入は「経営者が求めているものを実現する」唯一の経営ツールであると確信している。
即ち「社内業務の透明化、改善」「トップの意向の速やかな実行」「社員の課題意識の向上」などが実現すると信じております。是非チャレンジして下さい。
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