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2011.12【特別提言:蘇れ!日本を支える製造業】 海外への流れを絶つ 勝負に勝つ行動とは・・・ 蘇れ!日本を支える製造業 −製造コンサルティングの現場から−
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資源の乏しい日本を、今日まで支えてきたのは製造業… その製造業が、今 存続の危機にさらされている現実に大きな不安を感じます。 グローバル化の波に流され、終身雇用の倒壊や評価制度導入による個人主義化の施策、たった一つのクレームが企業の存続を決める時代にコスト競争の名目で、生産拠点も調達先も、ただ安ければ過去の取引や技術に関係なく、顔も見えない海外に求める短期の利益確保主義に大いなる疑問を感じ、日本人のまだ持っている真摯さ、会社を大事にする精神、一人ではなく、みんなで力をあわせることで個人の何倍もの大きな力に出来る日本人気質を原点に立って生かし、日本のものづくりを蘇らせなければという強い思いを持っています。 技術を徹底して磨くことは勿論ですが、企業現場の中で、私なりに感じている、日本の製造業が世界と勝負するための重点課題をお伝えします。 1.単価勝負ではなく 総合コスト勝負に持ち込め!海外なら700円 お宅の見積もりは1,000円……日本でのものづくりは 海外には勝てない 海外生産を視野に…! こんな話題を耳にする… 300円のコスト差なんか 実は存在しない!… 総合コストなら負けちゃいないと思って当たるべき… その根拠とは… 物流費は勿論だが、海外生産ではL/Tから、まとめ発注になり在庫管理費用が掛かる。しかも、設計変更や品種切り替えでデット在庫が発生すれば、価格差は消える! しかも 品質不良が出たら全て逆転。単価でのコスト差は全く存在しない! 限りなく高い壁だが 単価ではなく総合コストで勝負する 経営として 強い認識を持って当たるべき すべてが、ここからスタートする! もの作り企業として技術開発・製造技術力を更に高めコスト競争力をつけることは勿論だが、これから海外含めて本気の勝負する気なら、どこにもない日本人の持つ気質と永い物づくりの経験・知恵を生かし、今こそラストチャンスの認識を持ち企業一体となって、まず3つの柱作りに取組むべきと考えます。 その3本の柱とは……
2.圧倒的品質力企業を目指せ!品質を最重要課題として これまで懸命にやれる事は全てやってきた!ISO認証取得は勿論 再発防止真因追求や現場管理充実など… でも クレーム削減にはつながらない…こんな悩みをよく聞く 実は 企業の中には、厳然とした品質改善を阻む大きな要因があり、 この要因をしっかりと捉え ぶち壊せなければこの壁は破れない! その要因とは……みんなの心にある品質認識と私は考える
現場からの声を攻めとして受け 社内もお客様も動かす意識を強く持って会社の全組織が 一体となった体制で動く仕組を作るべき! 品質は 企業体質そのもの 簡単には真似の出来ない、大きな強み、差別化の柱になる。 <たった一つのクレームが会社の命運を決める時代安さより 品質こそ製造業の最重要使命と気付く時は必ず来る!> 3.段取力で勝負できる企業目指せ! 小ロット・短納期対応シングル段取を目指し段取作業の改善に取組んでいますが…現実は 小ロット要求が増え現場改善では追いつかない! こんな悩みをよく聞く… 必要なものを必要なだけ発注、在庫を持たない考えが浸透し、小ロット生産要求が当たり前の時代、現場段取作業時間改善だけでは収益を圧迫している 段取工数×段取回数で決まる「見えない段取損失」の拡大に抗しきれない! 小ロット・短納期勝負するなら段取回数削減の視点を加え 段取ゼロ企業を目指し 全社取り組み課題として挑戦すべき!
<小ロット短納期対応力こそ 海外生産の流れに勝つ条件…段取ゼロ企業挑戦は 全社の意識変革から…大きな強みに!> 4.汗でなく 知恵を売れる企業を目指せ!最近の設計者は 現場やコストのこと知らない人が増えた…図面をこう変えれば 材料も工程も削減できるけど…… 提案しても無理だよなー こんなことをよく聞く 出図段階まででコストの90%以上決まるが コスト発生要因を 現場を 知らない設計者が図面を書く! コストの知識は現場が一番! しかし 現場の声は設計者に届かない… これでは コスト低減は出来ない! 汗なら安いところはいくらでもある…しかし 永い物づくりの経験の中には、 どこにもない どこからも買えないコストの知恵が一杯あるはず… その知恵をVE提案に、設計者と一緒に価値ある商品作りへ取組める 知恵を売れるパートナー企業を目指すべき! VE提案とは コストを決める図面を こう変えれば… このコストで出来る いくらコストが下がるという案をいう! 図面指示0.5C面取りをただの面取りに変えるだけで加工費は30分の1、旋作加工でRを統一しただけで14名のラインが4名で回るようになった・・ 設計者の知らなかった・現場からのVE提案による成果事例もある。 実施手順(出来るだけ製造に携わる方々を集め 図面・現物を見ながら…)
図面が変われば コストは変わる 図面どおりでのコスト勝負ではなく、必ず 構想・図面を見たら何かのVE提案・知恵を出す仕組みづくりが、常にコストを考え・知恵を売る企業への道! 採用される されないでなく <知恵こそ どこにもない 簡単に真似できない企業としての最高の価値> *開発段階でのVE実践は、開発を育て圧倒的コスト競争の切札に! 5.売上げより粗利重視へ切り替えよ!海外との勝負は価格で勝てない! 人件費が違いすぎる??…頑張って売上げは上がったが、利益が出ない理由が分からない!? 原価低減協力要請や見積価格で負ける…的確な判断が出来ない! 自社の製品売価は分かるが品種が多いから 全ての製品の実力原価は把握していない、こんな話を聞く 事実 製品別実力原価を把握してない企業もかなりの割合で存在する 実力原価とは、自社の力そのものであり 売価−実力原価=粗利と定義し、この粗利こそ 製品としての価値の大きさ・・どの製品が強く どの顧客が 市場が 価値を感じてくれるのかの尺度であり、どこまで実力原価に改善すれば勝負できるのか初めて見えるはず・・・経営としてしっかりと知ることから次への営業戦略・商品戦略行動がしっかりと見えてきます。 実力原価は、営業・設計・製造が協議し概算で出し、中間に利益管理部門を設け、その部署での承認した実力原価を仕切り価格として営業に売る。その仕切りから営業は粗利確保の行動、設計・生産部門は実力原価を改善し原価低減による利益貢献が見える仕組みを作ることで、営業・設計製造部門の方々が、市場の変化やコストの実態を共有し利益責任認識が生まれ、力を合わせ利益確保への行動変化が現れてきます。 お客様第一とは価値を感じてくれる対象としたいお客様を知らねば不可! 粗利こそ 製品の そして企業の価値尺度であり 経営にとって前進への海図・羅針盤と考えます。 6.総合生産性で勝負できる企業へ生産性向上せよ!と言われるが、どこなら何をしたら良いのか分からない!改善は必要だが みんな一生懸命に動いている 無駄なんてどこにも無い! 確実に現場の生産性改善は進んでいるが、効果が収益に表れてこない・・ こんな話を よく耳にする 生産性とは、与えられた時間の価値の高さと解釈すべき! そう解釈すると 生産性向上とは、ただ短時間に仕事をすることでなく、 限られた時間を価値ある時間に変えることと定義できる。 生産性を収益につなげるには現場工数削減と時間価値向上の2つの切り口があり、工数削減は改善の基本で、どんな時代にも重要で特に量の拡大の時代には、それだけで確実に収益に寄与できた。しかし、量的拡大が望めず品種が増え在庫は極力持たない流れの現在では、稼動の山谷が大きくなり谷の時の時間価値を高める管理どちらもが不可欠な時代に入っていると考えます。 この項では、収益に寄与する生産性向上の2つの切り口について 私なりの、実践への考えと進め方概要を示します。
○改善の理念改善とは 人の価値を上げること今日 みんなの かく汗は 明日はかけない かけがいの無いもの どうせかくなら良い汗に、価値ある汗に変えよう!… <生産性とは企業の重要な売り物技術そのものである…> |