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2003.08【特集記事−本誌編集部より−】
品質保証部は品質経営の推進母体たれ
−品質を通じた業務改善で付加価値経営を目指す−

 

◆◇◆品質は企業の存続にかかわる◆◇◆

「品質を保証する」とは仕様の通りの機能が100%あることを保証し、万一トラブルが発生した場合には、相手に与えた損害、迷惑料を経済的に補うことをいう。商品のケースではリコールや回収といった行為であろう。製品不良が出ることはエネルギー、部品を使い、さらに自社で作業(付加価値?)を行った上、その製品が使えない、しかも、その後処理にもコストがかかるという、とてつもないムダを重ねていることになる。
ところが、これが「ムダ」だけに終わらないのが「不良」の恐さである。リコールや回収の多くは広く告知されるため、企業の信用にかかわってくる。
「あの会社、この間、回収していたけど、この商品大丈夫かな。買うのは止めておこうか」という判断をもたれないとも限らない。これが続けば、企業の存続にもかかわる。不良対策が重要視され、品質がつねに第一義に挙がるのは「外に出る不良」は工数損失だけではなく、信用損失にまで発展するからである。

◆◇◆不良を外に出さない仕組みをつくる◆◇◆

そこで、まず行うべきは「不良を外に出さない」仕組み作りである。実績をあげていくことで、周囲にも認知されてくる。
品質保証部はともすれば、クレーム処理係、QC工程表作成係になりがちであり、また、設計部門や製造部門に対して毅然とオーダーを出せない場合もある。だが、それでは不良を外に出さない仕組みは構築できない。部門を越えての権限(納入停止権、出荷停止権など)を持つことが重要になる。
設計での不良要因が80%、現場での原因が20%であるとすれば、設計部門との調整なくして不良低減はありえない。デザインレビューなどを活用する方法もあるが、このときにはエンジニアの目、IEの目を持ち、チェックしていくことが肝要である。
QAの大目的は品質を中心にした「金儲け」(企業の本来の目的の実現)にある。これを遂行するために品質をコントロールし、不良を出さないように工夫する。すなわち業務改善である。業務改善では最少投資で最大効果を狙うが、このプロセス改善を続けることが付加価値経営となる。この延長に品質経営があると考えられる。よい品・サービスを提供することなしに企業存続はありえない。品質保証部は企業存続の基盤であり、品質経営の推進母体でもある。

欠品、組付、締付け、圧入クレームの原因ライン診断書
[品質保証(QA)部ムダとりマニアル]


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本稿は「品質保証(QA)部ムダとりマニアル」(編著・関根憲一氏、29600円)をもとにテクノビジョン用に書き起こしたものです。


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