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品質工学とは |
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2.1 |
品質工学とはなにか |
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2.1.1 |
概説 |
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日本では品質工学、米国ではタグチメソッドとも言われている田口玄一 |
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博士による独創的な工学手法である。その特徴はいろいろあるが、 |
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以下のとおりである。 |
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(1) |
「品質とは、品物が出荷後、社会に対して与える損失である。ただし、 |
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機能そのものによる損失は除く」と定義し、具体的な指標として損失 |
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関数を考えた。 |
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(2) |
製品とコストをできるだけおさえ、しかも早く、うまく開発・設計す |
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る最適な工学手法である。コストをかけて、良い製品を開発するのでは |
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競争に負けてしまう。コストをおさえ、品質の良い(ばらつきの少ない) |
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製品を短期に開発することができる手法である。 |
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(3) |
たとえば、品質をあらわす“不良率”考える。従来の問題解決手法である |
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実験計画法では、不良率を増加させる原因(要因)はこれとこれであると特定し、 |
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不良率をおさえて品質の良い、ばらつきの少ない安定したツブぞろいの製品を |
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いかにしたらうまく開発できるかが重要となる。 |
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そのために、開発・設計段階で、消費者が使用する(しかも悪条件下で)条件(環境) |
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をわざと作り出し、実験データを得てこれを解析すれば、ロバストな(頑強な)製品 |
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を作ることができる。この考え方と手法が品質工学である。 |
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品質工学では、ばらつきを表わす指標としてSN比を用いている。 |
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(4) |
きわめて効率よく実験を行うため、L12,L18,L36直交表を用いる。 |
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技術者がコントロール可能な手段(要因)と条件(水準)を制御因子として、 |
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いろいろな制御因子とその水準の組み合わせにより、最少の実験回数 |
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データで有効な情報を得ることができる手法である。 |
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(1)まとめ |
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品質工学の特徴は以下のようになる。 |
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・ 直交表を用いる |
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・ 適切な品質特性を選択(良、不良のデータは良くない) |
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・ 制御因子はできるだけ多く割り付ける |
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・ SN比を使う |
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・ 損失関数を使う |
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・ 制御因子間の交互作用をできるだけ割り付けない |
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・ 制御因子と誤差因子に分ける |
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・ 誤差因子を効果的に用いる |
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・ 確認実験をする |
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(2)手順の要約(詳細は各章を参照) |
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(1)特性値に何を選択するかを検討する。複数あってもよい。 |
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(2)信号因子、誤差因子を決める。制御因子が何であるかを決める。制御 |
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因子は、実験によって、その条件を変えることが可能なものである。 |
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できるだけ多いほうがよい。 |
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(3)適切な直交表を選択する。 |
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(4)得られたデータを解析するには、変動分解法あるいは回帰分析法による。 |
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(5)最終的には、確認実験を行い、SN比に最も強く影響する因子と水準 |
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を固定する。 |
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2.1.2 |
品質工学に出てくる用語の一覧表 |
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用語を一覧表にまとめると以下のようになる。 |
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以降の内容は本書をお買い上げの上ご覧ください。 |
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